アメリカの平均年収は、2021年のデータで700万円程度だとされています。
あくまでも平均値で、中央値ではないものの、日本よりも平均収入が高いのは間違いないようです。
日本は衰退が叫ばれてから早数十年経ち、特に若年層の収入が社会問題になっていますが、社会構造に問題を孕んでいるのは実はアメリカも同じ。
このコラムでは、アメリカの平均収入と日本との違い、そして州ごとの違いについて解説していきます。
1.アメリカの平均年収は約700万円
1-1.アメリカの中央値の年収は?
2.日本は相対的に賃金が下がり続けている
3.アメリカで高収入の職種TOP5
3-1.5位 整形外科医
3-2.4位 救急医療専門医
3-3.3位 口腔顎顔面外科医
3-4.2位 麻酔科医
3-5.1位 循環器専門医
3.アメリカでは州によっても平均収入に格差がある
4.平均収入が高い=豊かとは限らない
4-1.物価が高い
4-2.医療費や不動産も高い
4-3.世界的に根深い人権問題
5.日本がアメリカから見習うべき点は多い
まとめ
アメリカの平均年収は約700万円
アメリカの平均年収は、2020年のデータで51,960USD(約660万円)、2021年は58,260USD(およそ700万円程)です。
これは世界1の水準で、日本の平均年収の445万円を大きく引き離す結果に。
ちなみにGDP2位の中国の平均年収は110〜130万円ほど。ただしこれは格差の大きい地方の年収も含まれているため、都心部の平均年収とは大きく差があると考えられます。
もちろんアメリカにも格差はありますが、平均年収はその国の経済レベルを知るひとつの目安でもあります。
アメリカの中央値の年収は?
平均年収とは、年収の総額を人数で割った数字なのでものすごいお金持ちと、そうでもない人の中間というわけではありません。
中間の数字を知りたい時は「中央値」を求めます。
アメリカの年収の中央値は、米国労働省統計局の発表では51,168USD(約650万円)でした。
※2020年時点
ちなみに日本の全体収入は396万円なので、中央値でもかなりの差があることが分かります。
日本は相対的に賃金が下がり続けている
日本で不況が叫ばれてはや何十年経ちますが、世界的にみても日本は「安い国」になっています。
年収400万円は30年前とほぼ同じ水準。
経済が成長していれば30年経てば平均所得や物価も上昇するはず。実際に、アメリカを始めとする諸外国では平均賃金は上昇しています。
日本の平均賃金はG7の中で下から2番目、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では35ヶ国中22位。
1989年、世界の時価総額ランキングは日本の企業がトップをほぼ占めていました。
しかし、30年後のランキングでは50位以内に1社のみ。
画像引用元:日本企業の時価総額ランキング。トヨタ、ソフトバンクの実力は?|転職Hacks
仮に30年前の勢いを保っていたとしても、現在のランキングではトップに食い込むことも難しいのです。
画像引用元:日本企業の時価総額ランキング。トヨタ、ソフトバンクの実力は?|転職Hacks
それは株式市場にも現れていて、日本経済が相対的に衰退していることは私たち1人1人が危機感を持って受け止めねばならない事実と言えます。
アメリカで高収入の職種TOP5
2022年にアメリカ労働統計局が発表した統計によると、面白いことに高収入の職種は医師が占めていることが分かります。
先ほどの時価総額ランキングではIT企業がトップを独占していましたが、職種ごとの収入となると内容が異なるようです。
アメリカでは日本のように勤務医か開業医かで年収が変わるのではなく、分野によって平均収入が異なります。
そのため、稼げる科目の医師になれば勤務医でも高収入が得られるのです。
以下からは、高収入ランキングTOP5の職業と平均年収についてご紹介します。
5位 整形外科医
アメリカの整形外科医の平均年収は306,620USD(約3,890万円)で、全米に16,260人雇用されています。
整形外科医は日本と同じく、筋骨格の治療を行う科目です。
4位 救急医療専門医
救急医療専門医の平均年収は310,670USD(約3,940万円)で、36,180人が救急治療に携わっています。
救急治療は重病患者や事故などで運ばれてきた患者さんの容態が安定するよう治療する部門です。
3位 口腔顎顔面外科医
口腔顎顔面外科医の平均年収は311,460USD(約3,950万円)です。
雇用人数は5,330人ほど。
口腔顎顔面外科医は口・歯・顎の外科手術や炎症等の治療を行います。
2位 麻酔科医
麻酔科医の平均年収は331,190USD(約4,200万円)で、31,130人ほどいるとされます。
実は麻酔科医は、アメリカでも「収入の高い仕事」の代表格でもあります。
科目に関係なく手術時に命と直結する作業を行うため報酬が高いとされています。
1位 循環器専門医
2021年度の年収1位は循環器専門医で、平均年収は353,970USD(約4,490万円)でした。
雇用者数は18,610人で、新型コロナウイルスの感染拡大も影響しているのではないかと推察されます。
このように、アメリカでは医療業界の報酬が軒並み高い水準であることが分かります。
この状況は働く人にとってはいいですが、アメリカの医療費が抜きん出て高額な理由の1つとも言われており、住む人にとっては複雑かもしれません。
アメリカでは州によっても平均収入に格差がある
アメリカの経済市場は日本と比べられないほど規模が大きいのは事実ですが、州ごとの格差も存在しています。
こちらはアメリカの地域ごとの収入をビジュアライズしたマップです。
画像引用元:地図で見るアメリカの所得格差 —— 大都市圏への富の集中が進む | Business Insider Japan
年収10万USD以上の人が住むエリアは青、年収25,000USD以下の貧困層が住むエリアは赤で示されています。
ロサンゼルス、ニューヨークなど人や企業が集まる都市部は年収が高い人が集まっていますが、郊外には赤いエリアが目立っています。
特に深刻なのが南部の州で、多くの地区で1/4以上が世帯年収25,000USD以下だとされています。
画像引用元:地図で見るアメリカの所得格差 —— 大都市圏への富の集中が進む | Business Insider Japan
経済成長の恩恵を受けているのは、都市部の人々だということが分かりますね。
平均収入が高い=豊かとは限らない
前述の通り、アメリカでは収入が高くて皆恵まれているというわけでもなさそうです。
それはいったいなぜなのでしょうか?中央値とともに日本よりもその理由について解説していきますね。
物価が高い
アメリカの都心部は、日本と比べても物価がかなり高いです。
1食2,000〜3,000円のランチは当たり前、物価を図るのに使われるマクドナルドのビッグマックの値段はアメリカで669円。日本のビッグマックは390円なので、倍近く物価が高いことが分かります。
その原因は圧倒的な人手不足がひとつ。企業は人手を確保するため、人件費を上げざるを得ません。
人件費の上乗せ分はもちろん商品価格へ反映されます。
また、原料高の影響もあります。仕入れ原料や燃料価格の高騰なども相まってインフレ状態になっているのです。
医療費や不動産も高い
アメリカでは医療費・不動産・学費がとにかく高い水準です。
よく、「アメリカで救急車を呼んだら10万円請求された」「盲腸の手術で1泊入院したら500万円かかった」という話しが半ばジョークのように語られますが、決して大げさな話しではありません。
もちろん民間の保険に加入していればカバーされますが、それでも一部分は自己負担するというのも一般的です。
アメリカの医療制度につきましては、以下の記事で詳しく解説しております。
合わせてご覧ください。
アメリカの医療制度を分かりやすく解説!日本との比較や医療保険まで
また不動産価格も、
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・2020年の金利引き下げ
・ミレニアル世代・ホワイトカラーの住宅購入増
・ベイエリアで数十年単位で続く住宅不足
などの諸要因で高騰しています。
賃貸で契約する場合も家賃はかなり高くなっています。
画像引用元:実は世界がうらやむ日本型デフレ、本当は恐ろしい米国型インフレ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
有名大学の学費は1年で1,000万円近くかかることも珍しくありません。
しかし、こうした物価の上昇が賃金と釣り合っているかというと決してそうとも言いきれないようです。
世界的に根深い人権問題
人権意識が高いイメージのあるアメリカですが、実は根深い人権問題も抱えています。
2020年の年収の中央値は、男性が81,744USD(約1,030万円)で女性は60,736USD(約770万円)でした。
男女間の賃金格差は日本でも深刻で、2021年度のデータでは男性の431万円に対し女性は351万円にとどまっています。
アメリカではさらに人種間の格差も存在し、黒人男性の年収中央値は白人男性の73.1%ほど。
ヒスパニック系の中央値はさらに低く、アメリカだけでなく世界が今後乗り越えなければならない問題の1つです。
日本がアメリカから見習うべき点は多い
アメリカにも社会的な問題はあるものの、日本も学ぶべき点は少なからずあります。
例えば、
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・移民による人口増加
・イノベーションの進化
・STEM教育の強化
・利益率を上げる企業の仕組み
・報酬を増やして優秀な人材を集める
・投資が盛ん
これらは全ていいわけではありませんが、参考になる部分も多いでしょう。
ただ、アメリカ風のやり方をすればいいのではなく、本質的な部分を参考にする必要があります。
それは政府や経営者だけでなく、中央の人材を選挙で選ぶ我々1人1人も意識して学ぶべきなのです。
まとめ
アメリカの年収は平均値・中央値ともに日本よりも高い数値でした。
特に高収入なのは医療関係の人々で、平均年収が4,000万円ほどと日本では考えられない水準です。
その一方で医療費は世界に類を見ないほど高く、不調があっても病院にいけない人達も少なくありません。
日本は医療費も物価も安いですが、将来的に期待できる産業がないと厳しい指摘をされることもあります。
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