アメリカの国旗「星条旗」の意味や歴史、文化について

こんにちは!ハナセルです。
アメリカ合衆国の国旗は、星と縞模様が印象深い「星条旗」ですね。この記事ではアメリカ国旗のデザインと意味、歴史や文化、またアメリカの国歌「星条旗」などについて詳しくご紹介します。

アメリカ国旗のデザインと歴史

アメリカ合衆国の国旗のデザインには歴史的な背景と象徴的な意味があり、同時にアメリカの歴史を垣間見ることができます。

日本語では「星条旗」という言い方が定着していますが、英語では “Star-Spangled Banner” や “The Stars and Stripes”と呼ばれます。

初代大統領のジョージ・ワシントンは当時の米国旗の持つ意味について、「星は天を、赤は母国である英国を、白はイギリスからの独立を表す。」と言っています。しかし、現在のアメリカの公式の国旗の説明を読んでみるとかなり違います。ワシントンの言葉はあくまでも初代の国旗についてで、現在の国旗には当てはまりません。

星と縞模様の意味は?

2023年現在のアメリカ合衆国の国旗は、横に13本の赤と白の縞模様があり、左上の約4分の位置に区切られた「カントン」と呼ばれる青い部分に50の星が配置されています。

赤と白の合計13本の縞は、アメリカ合衆国の最初の13州(元々植民地だった独立13州)を象徴しています。これらの州はアメリカが当時のイギリスから独立するきっかけとなった出来事や、歴史的な舞台となった地域で、アメリカ合衆国の建国において重要な役割を果たしました。

星条旗の「星」は、アメリカ合衆国の現在の州を表しています。星は現在50個あり、現在の州の数を表しているほか、合衆国の統一と結束、連邦制、それぞれの州には独立性があることを示しています。星は白い色で、青で区切られたエリアに配置されています。

赤・青・白の三色の意味は?

赤・青・白の三色の意味については以下のように言われています。

赤:valor and bravery 勇猛と勇気
白: purity and innocence 純粋さと純真
青:vigilance, perseverance, and justice 屈しない、忍耐、正義

アメリカ国旗をデザインしたのは誰?

フィラデルフィアに住んでいた女性ベッツィ・ロスが独立戦争の最中に手縫いで作ったのが最初であるという説と、ニュージャージーの州の代表としてアメリカ独立宣言に署名したフランシス・ホプキンソンであるという説がありますが、本当のところは明らかになっていません。独立戦争は1775年から1783年にかけてあり、ニュージャージーの独立宣言署名は1776年のことです。

最初期のアメリカ国旗はベッツィー・ロス・フラッグという愛称で知られており、今とデザインは異なり、星の数は13個で、星は円を描くように配置されています。

過去のアメリカ国旗のデザインは何種類ある?

アメリカの国旗は世界で最も多く変化した国旗と言われており、今までに合計27回デザインを変えています。20世紀に入ってからはオクラホマ、アリゾナとニューメキシコ、アラスカ、ハワイの加盟により4回の変更があり、18世紀の間に2回、19世紀の間には21回も変わりました。

一番最初のベッツィー・ロス・フラッグは1795年にケンタッキーとバーモントが加わるまでの約18年間使用され、その後は平均5年の間隔で新しいデザインにアップデートされてきました。1年で変わった年も少なくありません。アメリカ合衆国に加盟した州の数が増えるごとに星の数が増え、現行の50の星のデザインになったのは1960年のことでした。現在約60年以上変わっていないことになります。

このように、加盟した州が増えるたびに旗のデザインが更新されますが、発表されるのは毎回決まって7月4日の独立記念日となっています。

なお、ベッツィー・ロス・フラッグ以前はイギリスの植民地であったため、左上にイギリスのユニオンジャックがあり、赤と白で13本の縞をあしらった、「グランドユニオン」旗が使われていました。ということで、このグランドユニオンも含めると、アメリカの地で公式に使われていた国旗のデザインは、合計28種類あることになります。

デザインの公式ルールが決まったのは意外と最近

1912年にタフト大統領によって初めてオフィシャルに48星旗が制定されました。それまでは星の配置の公式ルールが決まっていなかったため、星の位置は斜めになっていたり、自由に並べて図形を描いたり、よく見ると大きさがまちまちだったりと、自由度の高いものでした。

1934年には初めて公式に正確な色が決められ、1959年にアイゼンハワー大統領によって旗のデザインのオフィシャルな比率は1:1.9と定められました。

アメリカ人にとって国旗はどんな存在?

米国では国旗はとても日常生活に染みついたもので、親しみがあるものです。日本とアメリカは歴史も文化も異なりますので、国旗の持つ意味はかなり異なります。

星条旗はアメリカの象徴的な存在であり、多くの人にとって誇りとアイデンティティの一部です。小さな街でも、大都市のオフィス街でも星条旗が多く掲げられている理由は、米国の歴史や文化、経済に誇りを持っていることの表れであったり、団結や連帯感、忠誠心を高めるなどの効果もあります。

アメリカでは国旗や国旗グッズがどこでも買える

スーパーやホームセンターなどでは簡単に大きなアメリカ国旗を買うことができます。特にメモリアルデー、独立記念日、ベテランズデーなどの祝日には国旗が印刷されたグッズも多く売り出されます。

ハガキ大くらいの小さな国旗が複数まとめて売られている光景を5月、7月などによく見かけますが、みなさん、これはなんだと思いますか?これは、お庭を飾ったり、お墓に備えるものなんです。小さな星条旗や赤白青の3色の花輪を戦没者や退役軍人のお墓参りやモニュメントにお供えする光景も一般的です。

一軒家の場合、お庭に大きな星条旗を掲げている家庭も少なくありません。個人的な国旗の掲揚は愛国、敬意を示すことはもちろんのこと、個々の政治的な関心の強さやスタンスも時に含まれることがあります。レインボーフラッグなどもそうですが、庭先に自分の意思の表明として旗を掲げたり、ワンポイントのものを身につけることは米国では一般的です。

アメリカの子供たちは毎朝国旗に忠誠を誓う

国旗に忠誠を誓うというと日本では驚かれるかもしれませんが、アメリカでは公立学校などでは幼い時から「忠誠の誓い “The Pledge of Allegiance”」を教えられ、暗記し、毎朝宣誓します。

宣誓の内容は以下です。

“I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.”

(私はアメリカ合衆国の国旗に対し、国旗が象徴するすべての人に自由と正義が約束されたこの神の元の国に、忠誠を誓います。)

宣誓する際は直立し、背筋を正して、右手を胸の上に当て、星条旗の方向を向きます。また、ぐしゃぐしゃにしない、踏んだり、敷いたりしないなどの正しい扱い方なども学校や家庭で教わります。

この「忠誠の誓い」は、子供だけが宣誓するものではなく、移民がアメリカの市民権をもらう際にも宣誓式にて集団で行われます。

アメリカの国旗掲揚とそれが見れる場所

ワシントンD.C.の各所のメモリアルや戦没者の墓地、そのほか軍事基地、公立の学校、図書館、消防署、警察署、コミュニティセンターなどに行くと、毎朝の国旗掲揚のセレモニーを見ることができるかもしれません。

日本の方がよく行く観光地の例では、カリフォルニアやフロリダのディズニーランド、ディズニーワールドなどのテーマパークでも国旗掲揚・降納のセレモニーは行われています。一般の人も一緒に見ることができるので、朝夕の掲揚、降納の時間(5時)に運よく巡り合わせたらぜひ見てください。

星条旗を掲げるとき、下げるときは作法に則って行われます。夕方に下すときも畳み方の作法があり、横にしてから横に半分に折り、さらに半分にし、三角にくるくると巻くように折っていき、最終的に星の部分が表に出るようにします。

祝祭日だけ星条旗を掲揚する家庭も多く、その場合、普段は専用のディスプレイケースに入れて綺麗に保管します。三角の旗保管用のケースはホームセンターなどでも売られています。

アメリカの半旗の意味

半旗とは、旗を立てるポールの真ん中あたりでわざと旗を止めて掲揚する方法のことです。国旗が半旗で掲揚されている場合は、国にとってネガティブな事件が起きたり、重要人物が亡くなったりなど、喪に服していることを示します。例えば大規模なテロや災害があった場合は全国的に反旗になります。

星条旗以外にも、例えば州の旗やカウンティ(群)の旗などが半旗掲揚されている場合は、その地域で何か悲しいことが起きたか、政治家やコミュニティの方が亡くなったことなどを意味しています。一般人が入れる図書館やシティホールなどの施設の場合、「今日はなぜ半旗なのですか?」と聞くと、理由を教えてくれます。

また、毎年メモリアルデー(戦没者を追悼する国民の休日)、9月11日(同時多発テロの追悼)などにも半旗になることがあります。

アメリカの国歌「星条旗」について

アメリカの国歌のタイトルは、日本語では「星条旗」と訳されています。英語では ”Star-Spangled Banner” というタイトルで、直訳すると「星の輝く旗」となります。

歌詞の舞台は米英戦争中のマクヘンリー砦

この国歌の歌詞ができた背景には1814年9月のメリーランド州のボルティモアで起きた「ボルティモアの戦い」という米英戦争中の数日間の物語があります。1776年にイギリスから独立したアメリカですが、1812年から1815年までの約3年間は「米英戦争」といって、また異なる理由でイギリスと争っていました。

1814年9月12日、チェサピーク湾にあるノースポイント半島に上陸したイギリス軍とボルティモアの民兵が戦い、さらにイギリス軍はフォート・マクヘンリー(マクヘンリー砦)を海からロケット弾で砲撃します。アメリカ側は激しい砲弾射撃を25時間以上受けましたが被害はさほどなく、9月13日の夜に決行された陽動作戦も失敗に終わり、14日の朝にイギリス側は停戦を申し出ることになりました。

この14日の朝、海側からイギリス軍はマクヘンリー砦に掲げられた無傷のアメリカ国旗を目にしたと言われます。アメリカの国家の歌詞は、マクヘンリー砦にて昼夜問わず行われた砲撃が止み、まさに明け方の空が白んでくる頃に特大の星条旗が堂々とはためいていた様子を歌っています。

マクヘンリー砦は国定公園、ナショナルモニュメント、国家歴史登録財にも指定されています。アラスカ、ハワイが加わった際など、新しい国旗がデザインされた際は、マクヘンリー砦はまず第一に国旗が掲揚される場所となっています。

弁護士キーの書き留めた星条旗の詩が国歌に

ボルティモアの戦いの頃、アメリカの弁護士、フランシス・スコット・キーはイギリス側に捕虜に囚われていたアメリカ人のビーンズ博士の解放を交渉するために、懇願書を持ってイギリス軍を訪れていました。博士は釈放されることになりましたが、砲撃の最中だったので落ち着くまで引き続きイギリス軍に滞在しました。

先ほども述べた、砲撃の終わった9月14日の朝、ちょうどキー弁護士も別の位置から同じ星条旗を見上げていました。夜が明けようとする時に翻る旗の光景にインスピレーションが沸いたキー氏は詩を書き留め、その後ボルティモアにて印刷され「マクヘンリー砦の守護 “Defence of Fort M’Henry” 」という題で歌われるようになり、その後1931年に国歌として正式に採用されました。

国歌で謳われた星条旗はスミソニアン博物館に展示

このマクヘンリー砦で実際に翻っていた旗は42x30フィート(約13メートルx9メートル)と非常に大きく、全て手縫いで作られました。

この時の星条旗のデザインは初代国旗のベッツィー・ロス・フラッグとは異なり、星の数は15で、円形ではなく、横に3つ並び、5列の配置でした。星が二つ増えたのは、ケンタッキー州とバーモント州が1795年に新しく加盟したためです。

現在ではワシントンD.C.のスミソニアン国立アメリカ歴史博物館にて修復されながらも展示されています。入館は無料なのでぜひご旅行などの際に実物を見学してみてください!

まとめ

以上、アメリカの国旗である星条旗について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

普段の風景としてアメリカ人でも星条旗を見て特に何も思わない人もいるかもしれませんし、星条旗を見てふとこの国は先人が理想を持って作り上げた世界で最もユニークな国であると誇りを感じる人もいるでしょう。

アメリカ携帯ハナセルが運営する「アメリカ新生活・移住ブログ」では、本記事のように、アメリカでの生活や旅行で困ったときの解決方法や、アメリカに行く前に知っておきたい知識など、アメリカで役立つ様々な情報を発信しています。

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監修者
ハナセル店長 吉田

モベルコミュニケーションズ取締役
アメリカ携帯電話業界に20年携わる専門家

小学生の頃に日本を離れた後、海外の大学に進学。海外携帯電話会社に入社し、現在も海外生活を続ける。
2007年、一時帰国の度に感動する日本品質のサービスを米国在住者にお届けしたいという想いから、日本人のためのアメリカ携帯サービス「HanaCell(ハナセル)」を立ち上げる。
コラムでは、一般の方にもわかりやすいアメリカ携帯電話に関する情報や、バイリンガルを活かしたアメリカ生活情報の発信・監修を行っている。

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